寸法測定後、再度完全に分解します。
NRはカスタム部品がほとんど市販されておらず、車両の性質に見合う品質のものを選択すると、どうしてもHRC製の他車種レース専用部品となるため、取り付けには大幅な加工が必要になります。基本的な構成の取り付け確認はこの状態で行えますが、外装や保安部品との成り立ちは組み立てながら調整となります。
まずはノーマル状態での寸法を確認します。
大幅なモディファイを実施するため、本来の車両姿勢やアライメントを失わない為に行う現状把握作業です。
取り付ける部品なりの姿勢やアライメントでは、部品の性能はおろか本来の乗り味まで失うことがあります。
エンジンが完成し、部品の整理もついたので車体の作業に入ります。車体はオーナー様のご意向により、持ち込まれたレース部品を使用してカスタムを行います。
取り付け状態です。ピロボールの動作を確保するのと、サスペンションのオフセットを考慮してこの形状に落ち着きました。
この後、アルマイト処理を行います。
フレーム本体無加工で取り付けるため、アッパーBKTにボルトオンブラケットを装着し、全長はリンク側で対応することにしました。本来は取り付け剛性が重要な場所ですので、このような「かませ物」は入れるべきではありませんが・・・・
フライスを使用してアルミブロックから削り出します。
リアサスペンションはレーシングキットのものを流用しますが、ボディ径やスプリング径はもちろん、全長とストロークまで異なるので取り付けにはリンクレシオの修正も必要です。
アッパーBKTの幅が異なり、取り付けができません。オーナー様はフレームの切断、加工をご希望されましたが、NRの美しいフレームに刃物を入れる気にはなりません。
■リアサス廻りの加工■
干渉部分が切断されたスイングアームです。改修ついでに外観も変更したいとのことで、大幅な板金、溶接加工が必要となりました。
NRを開発した朝霞研究所の方が見られたら、何と思われるでしょうか。
加工量を把握するため、ダミースプリングを装着してストロークさせてみます。
リザーバータンク、サスペンションホール、ピボット部が干渉し加工が必要と判明しました(要は全部です)。この辺りの作業は「現合」で行います。大幅な改修は本来の性能を失いかねませんので、本当はこのようなカスタムは行うべきではないのですが・・・・
ノーマルは本当によくできています。
リンケージも総切削品です。この状態ですでにスイングアームと干渉しています。スイングアームは相当大幅な改修が必要です。
リンケージの形状もノーマルに比べて大きく、マフラーとの干渉が心配ですが、取り付け座標、レシオが決まっているため形状まで選べないのです。
■リアアクスル、ブレーキ■
溶接後、研磨されたスイングアームです。ノーマルとはかなり外観が異なります。
オーナー様の好みでバフ仕上げではなく、ヘアライン仕上げとなっています。
■順次更新してゆきます■
リアアクスルはワンオフのクロモリ総切削品です。チタン製はコスト、強度の観点から非現実的ですのでクロモリ製となりました。
HRCが八耐で採用していたオートロックピン機構(スタンドを抜くとロックピンが作動)も採用しています。
切削目が非常に美しい仕上がりですが、使用に伴い錆びてくるんでしょうね。
リアキャリパーもコンパクトなレーシングキットを流用します。
NRはリアにも大径のベンチレーテッドディスクを採用しており、ディスク厚、ディスク径とも異なるので取り付けには加工が必要です。
さすがレーシングパーツ、ノーマルとは比較にならないくらいコンパクトで軽量です。
加工のため分解されたキャリパーです。ついでにシール、ピストンのメンテナンスも行います。
今回はキャリパー合わせ面に削り出しのスペーサーを取り付けることでディスク厚に対応します。スペーサーは小さなものですが、Oリング溝加工や平行度に精度が要求され、繊細な加工が必要です。
スペーサーを取り付けたキャリパーです。
幅が広くなっているのが判ると思います。本来、キャリパー剛性はタッチに影響するのでこのようなかませ物は厳禁ですが、リアブレーキということで特に問題は発生しませんでした。
取り付けピッチ、オフセットが異なるので、キャリパーブラケットも製作します。
対向ピストンキャリパーのためクリアランスが厳しく、ブラケットの板厚とクリアランスの確保を実現できる位置決めが大変です。板厚を薄くすれば収まるのですが、オフセットが大きいためブラケット剛性の低下は捩れて編磨耗を促進する可能性があり、難しいところです。
試作を繰り返し、無事完成です。
このような作業は単品図面では解らない干渉などがあり、ほとんど現合で行います。自社設備がある当社ではその場で合わせながら加工しますので柔軟に対応が可能です。
■NR750車体編■