■週間日記「今週のW.A.T」■

以前に溶接修理させていただいた、ZUのケース。
「組んで走ると溶接部からオイル漏れる」と連絡が。
引き取って検査すると、ケース締結面からの漏れ。
旧車ケースは、ボルト配置も締結剛性も歪みも旧車。
現実は、液体ガスケット厚塗りで対策するしかない。
組んだ方は、腕の確かな大手デーラー整備士さん。
実際、ミッション調整もキャブ同調も良い仕事してる。
Q:なのに、なぜガスケット塗布量が少なかったのか?
左、右写真: 今回はウチで組み直しすることに。
レストアしたての車両で、フレーム塗装もピカピカ。
Z系は、フランジ外すだけでダウンチューブ傷つく。
タイヤチューブで養生しまくって、エンジン降ろし。
左、右写真: 降りたら返して、ロアーだけ分解。
ケース割って、締結面の液体ガスケットを再施工。
とはいえ、ついでなんでミッションスラスト等も点検。
規定範囲内に居たので、余計な手出しは自粛。
左写真: 念のため溶接部も再検査、もちろんOK。
右写真: そして液体ガスケットを塗布、組み立て。
ウチが旧車に使うのは、スリーボンドのTB1207B。
理由の説明省くが、旧車にはコレの厚塗りがベスト。
ウチの場合、旧車は組み方や整備観点が異なる。
例えば液体ガスケット、使う銘柄も塗る厚みも違う。
例えばエンジン位置、普通は回転軸で位置を取る。
だがZはダウンチューブとの隙間、見せ方を優先。
(ココの見せ方でスッキリ感、カッコ良さが変わる)
だがそんなの、作業者次第で考え違うよな。
同じく、私の「常識」と組む人の「常識」の範囲も。
A:私が常識的に、と言ったから厚塗り控え→漏れた。
左写真: 旧車のココ、押し割りそうで何か怖い。
下マウントの板ナットは、ケースに当てず木で緩衝。
右写真: エンジンを載せて同調チェック。
コチラも規定の範囲内で、余計な手出しは自粛。
左写真: そして完成後は、ひたすら確認。
朝・昼・晩と台上で暖機して、2週間ほど継続確認。
右写真: したら今度は、ヘッドカバーから漏れOrz。
だが濡れる女を愛せないなら、旧車は乗っちゃダメ。
昔、液体パッキンを厚めに塗ってね、と言ったら
塗りすぎてオイル通路塞いで焼いた人がいたのよ
それ以来、常識的な範囲で、と文言を加えたのだが
そして最近よく目にする、社外のトロコイドポンプ。
Z純正のギアポンプはVE部品、と思われてる風潮が。
トロコイドとギアの違いって、内部圧縮の有無なんよ。
低吐出域でも油圧が必要なメタル受けはトロコイド。
油の雰囲気があれば良い組み立てクランクはギア。
そしてトロコイドは圧縮損失でギアよりパワー下がる。
で、油圧依存しないZ系は当然、ギアポンプを採用。
それでベンチ耐久クリアして、実際、50年動いてる。
カスタムを否定せんが、VE設計との批判も違うよね。
ウチは業販主体で、業者様からの部品作業が多い。
で、皆さん、メッチャ綺麗に洗って送ってくれるのね。
開梱した時、すっごく気持ちよくて嬉しいのですが・・
鋳鉄シリンダに、錆が浮いてる場合が結構ある。
中古でそもそも錆びてた、とかなら良いのだけど。
感覚的には、綺麗に洗ってあるシリンダほど錆が。
「油は手を汚す」お気遣いは嬉しいのだけれども。
開梱までにお時間いただく場合も多いので。
シリンダ壁は、防錆で軽く油をお願い致しますm(__)m