■週間日記「今週のW.A.T」■

オーナー様からご依頼いただいた、固着抜き取り。
水温計のブルドン管、感熱部がラジエターから抜けないと。
ラジエターの中を覗くと腐食だらけ。患部も腐食太りだね。
「ネジ」って回せれば抜けるが「袋の挿込」固着は手強い。
推力を与える手段がないから、抜きようがないわけさ。
おまけに片側はアルミ、もう片側は真鍮でドチラも薄く柔い。
更に貴重なワークス部品で、ドチラも救出したいとの事。
受けたの後悔しながら、地道な作業続けること1ヶ月半。
左写真: 管先にはメーターASSY付きで作業やりにくい。
しかもメーターはワークスのステッピングでお高いヤツ。
右写真: でも抜いたぜ。さすが俺様。
苦戦の痕跡残さず、楽勝感出すのがカッコいいのだ。
左、右写真: 当然、コア内部も腐食粉で詰まってて。
塞がったコアを開通しないと、ラジエタとして機能しない。
更に腐食肌は熱伝導が悪く、内側のアルミ地を出す必要も。
水パイプの変形を直して治具を装着、内部を化学洗浄します。
左写真: ラジエタを桶に隔離して、内部を化学洗浄。
キツイ薬品なんで、床にこぼれるとイロイロと面倒なのだ。
右写真: 内部を洗った廃液を再利用して、外も洗う。
お高い液だから最後まで活用。外もピッカピカになるぜ。
左写真: 化学洗浄後は必ず圧力検査。
化学洗浄は腐食洗いに効くが、古いラジエタには両刃の剣。
腐食穴を腐食粉が塞いでた場合は、洗浄で流れて漏れる。
右写真: 完成。ノーダメージどころかピッカピカでお戻し。
化学洗浄後のラジエタ内部。1枚目写真とえらい違いでしょ?
実はコレ、ダイキャスト溶接の下処理技術の転用なのだ。
表面の腐食膜なんかを取り除く、まさに同じ効能なのさ。
皆さん、使う溶接棒を知りたがるが、棒じゃないのよね。
鋳物溶接は準備の積み重ねで条件改善するのが第一歩。
「パーツクリーナーで流すだけ」で棒の責任にしちゃダメ。
パーツクリーナーでラジエタ腐食は綺麗にならんでしょ?
ま、そんな話さね。とにかく、抜き取り全戦全勝更新中。
抜き取り全戦全勝を更新中。抜けた時の興奮がたまらん。
商売的には漸戦全傷やけどな。抜き取りジャンキー渡辺。
と、能書き垂れても、実車状態だと下処理に限界がある。
実車状態だと装置に入らんし、薬品に浸けることもできん。
しかも今回のR6は、エポキシやシリコンで覆い隠され。
あげく、この状態でも分かるくらい端面に歪みがある。
こうなると、分解してケース単品で送って欲しいところだが。
エンジン脱着とケース分解組立だけでかなりの出費よな。
ちゅうても困るのはオーナー様で、俺は別に困らんのだが。
なのに安く難しい実車作業を提案して、自分の首絞める俺。
理由?彼は遠路を実車見せに来たから。汗には汗で返す。
そして常連M本さんが遊びに来た。ん?いつもと音が違う?
ツーバイクをフォルツァからX-MAXに買い換えたんだって。
R1を追いかけて、フォルツァの車体に限界感じたらしい。
意味わからん。この夏に買ったCBR1000RRがあるやんw
X-MAXどお?と聞いたら「これ、ヒザ擦れますよ」だって。
250ccスクーターの評価に「ヒザ」ってのがM本さんだな。
普通にブレーキ引いたままフロントに乗せてゆけるとか。
「ツーリング行きましょうよ!」って言うけども。
俺、カブ90やで?フォルツァ時代より更にハードル高いでな。