■週間日記「今週のW.A.T」■
左、右写真: 係留1年でこんだけ付着する。
この程度でも抵抗で進まなくなる。水って粘っこいんだねぇ。
エンジンパワーは余裕だが、開けたらペラ空転してキャビ失速。
スロットル戻してグリップ探す。RC213Vばりのストレス操船。
皆さんに「どうなってるの?」と聞かれる、船のメンテ作業。
いつでも出せるように、漁港に係留させてもらってる船だが。
魚影の濃い海は栄養も豊富で、フジツボや海藻が大繁殖。
彼らにとっては船底も恰好の住みか。付着して船速が落ちる。
船速が落ちると、水流で剥がれず更に成長する悪循環。
防汚塗装でだいぶ防げるが、この塗料が1年も持たない。
で、毎年、船底の付着物落として防汚塗装する必要がある。
家に持って帰って、お盆期間にササッと施工するつもりが・・
左写真: で、フジツボ落として防汚塗装して船速を戻す。
フジツボ掃除と水洗いで1日、塗装・乾燥で1日。計2日の予定。
この時はお盆最終日には海へ戻すつもりだった・・この時は。
右写真: 更に、成分の抜けた古い塗膜の厚さも削る。
左、右写真: 船業界ではひたすら上塗りで覆うが。
整備士的には、下地に残った古塗装の肌が気になるのよ。
どうせ上からぶ厚く防汚塗装するから、肌均しは不要だが。
止めときゃいいのに、ペーパー研ぎで下地までツルツルに。
ところがこの「研ぎ出し」が端緒で、新たな問題が発覚。
トランサムの下側、古い防汚塗装の下は当然FRPの船体。
そのFRP下に、なぜかまた古い防汚塗装が透けて見える?
過去の誰かが、防汚塗装の上からFRPを貼ってるわけだ。
だが防汚塗装は水溶性で、経年で痩せて隙間ができる。
ナルホド、船底のビルジはこの隙間から滲みた海水か。
サンダーで1分の塗装削る手間を惜しんだ前作業者。
「何か」を解決した仕事と思えん。根本は何?ソコが問題。
隙間を追うと、中から寸法違いの腐ったトランサム板が出現。
本当は全後面に入って、面で推進力を受ける構造なのだが。
過去の修理時に一部だけ交換して、後は空間で残したと。
更に切開塞ぐ時に横着して、防汚塗装剥さず上からFRPしたと。
で、隙間から海水が入って換えたトランサム板もまた腐ったと。
全てはFRPの中。「ど〜せ誰も気づかんわ」っちゅう話?
実際それで釣りできてたし、商業的に正解なのかもしれんが。
俺様的には完全アウト。手間だが切開して全部やり直し決定。
自分がユーザー側に立つと、お客さんの気持ちがすげぇ分かるよね。
電話に出ない怪しい焼鳥屋が仕事に困らん理由。俺、手抜かんもん。
と、プリプリ怒ってたら、船仲間のS賀さんが電話してきた。
「あんた整備士って聞いてたけど、焼鳥屋だっけ?」
ウチの前通ったら看板焼鳥屋だし窓際にはドリンク並ぶし、と。
ああ、それね、面倒な飛び込み来客避けのフェイク。擬装よ。
ウチ探して、興味本位で来る人がいて対応に困るのよ(本当)
「商機を逃してる」と人生の先輩方に怒られるが、愛想できん。
仕事に困るくらいでいい。忙しいと釣りに行けんくなるしな。
仕事取って仕事に追われて仕事が雑になったら意味ないし。
テキトー修理でまた腐ったトランサム見たら、そう思わん?