■週間日記「今週のW.A.T」■
業者様からご依頼いただいた、実車状態でのケース溶接。
当初、電話で聞いた話だと小さな穴と凹みの印象。
それなら実車状態でもできそうですね、と言っちゃったんだな。
で、俺を信じた彼は、遠路を実車持って来てくれたのだが。
モノ見たら確かに穴は小さいが・・ダメージ範囲はかなり広い。
更にエンジン番号と機械加工の際。これはハナシが違う。
断ろうと思ったが、彼は俺を信じて遠路持って来てくれた。
来たヒト特典。今回はご予算内で実車修理させてもらいます。
左写真: 入庫時の状態。
開いた穴自体は小さいが、結構な範囲でダメージがあった。
開口部のみならず、残留応力部は全て削除でやり直しです。
右写真: 掃除機で吸いながら、破片にドリルして除去。
左写真: 作業姿勢が取れない実車溶接は・・辛い。
加工座面を溶かすと、分解して機械加工しないといけないし。
全く見えないケース内側から、感覚で溶接する冷や汗作業。
右写真: 溶接後、リークチェック。
左写真: 俺様は作業中に破片なんか落とさんが。
破損時にエンジン内に飛散した破片をフラッシング除去。
右写真: 組み付けて完成。
今回はご予算内でのサービス施工につき、外観研磨ナシ。
沸いて噴くアルミダイキャストを精密溶接するのは難しい。
周辺削除して作り直しは、難易度上げて自分の首を絞める。
けど、残留応力部は全削除しないと経年割れリスクが。
更に今回は、油路キャップの機械加工隅までクラックで最悪。
1ミリ溶解させたらアウト、ま、普通は無理だな。
でも俺様は、機械加工面もエンジン番号もそのままで直す。
作業やりにくいんで、普段なら実車では受けない部分だが。
汗には汗で返す。大汗かいて来たから、特別に実車で施工。
けど、お受けしたくても、実車でお受けできない場合もある。
それが「破損時にケース内側に散った破片」の問題。
もし、中に破片散っていたら、実車状態で穴塞ぐ意味がない。
だって、どうせエンジン分解して破片出さないとダメなんだから。
小さいのはともかく、塊がギアに噛んだらリアロックで即転倒。
簡単そうな実車溶接でも、俺が断る時はそういう理屈だ。
「HP見て来たのに、騙された!」と怒る方も居るが。
アンタのために言うてるねん。俺は溶接工ではなく整備士だ。
俺なんか、内に落とさんようワイヤーで縫ってから外す世界
そしてFCRオーバーホール、これが肝?の浮動バルブ。
でも実はFCRって、バルブよりボディ側のほうが磨耗する。
段差できて、この隙間からエア吸ってDR悪化するのさ。
だから、浮動バルブを交換してもDR戻ることはない。
実はFCRのDRを出す本当の肝は、ボディ側なのだ。
ウチ評判いただいてて、FCRのO/Hメッチャやったけど。
今や激減。キャブ車絶滅。FCRもブルーマグナム状態?
FCR部品の在庫、大量にあるんだけどね。どうしましょw